投資家とトレーダー

銘柄A:既に誰の目にも明らかな割高さながら一週間後には高確率で20%程度の上昇が見込めそう。

銘柄B:前から狙っていた割安優良株が急落で更に割安になったが、一週間後に水準訂正が起こる可能性は殆どなさそう。

上記のように対照的な二銘柄があった場合、トレーダータイプであれば間違いなく銘柄Aを買いにいくことでしょう。一方、投資家タイプはどうでしょう? 私自身は紛れもないトレーダータイプなので想像でしかないのですが、恐らく意見は二つに割れるのではないでしょうか? 

短期的な値上がりには興味がなく、あくまでも自らが厳選した優良銘柄で勝負したいという拘りを持つ投資家であれば、銘柄Bを選ぶかも知れません。一方、本質的には長期的な視点からじっくり株を持ちたいと思いつつも「落ちているお金」は積極的に拾いたいため、このケースでは敢えて銘柄Aを選ぶという人もきっといることでしょう。敢えて分類すれば、前者は生粋の(長期)投資家、後者は投資家兼トレーダーといったところでしょうか。

著書『順張りスイングトレードの極意』においては、(重なる部分もあるし明確に区分け出来はしないものの)投資家とトレーダーの二つのタイプがあると書きました。また私自身は、紛れもないトレーダーです。では、株式市場に参加している人々の割合はどうかと言えば、自身が意識しているいないかは別にして、実際には、明確に投資家ともトレーダーとも分けられない投資家兼トレーダータイプの比率が結構高いように見受けられます。

では、結局一体どのタイプがいいのか、あるいは悪いのか? 結論から言えば、どれがいいとか悪いといったことは全くなくて、各人が好きなタイプを目指せばよいのだと、私は心の底から思っています。目の前に落ちているお金をしっかり拾いに行くのは経済合理性に適うことですし、一方で敢えてそうしない(だけの精神的・金銭的余裕がある)のも素晴らしいことだと思えるからです。

たとえば同じトレーダーであっても、場が開いている間は片時たりとも相場から目を離さないというタイプもいれば、ゴールデンタイムである寄り付き直後と引け直前くらいしか取引せず残りの時間帯は殆ど場を見ないというタイプもいます。前者を褒めれば真面目かつ熱心でよいということになるし、後者は後者で時間の使い方が効率的(相場だけに時間を使わず人生を楽しんでいる)といった褒め方も出来るでしょう。

結局のところ、「みんなちがって、みんないい」ということになります。相場への取り組み方は人それぞれでよいのです。そして、全く別の取り組み方をしている人たちを非難したり排撃したりすることはお門違いも甚だしく、絶対にすべきではないと言えるでしょう。

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